認知症になりそうな老親を、老人ホーム等に入所を決めてしまうのは、ちょっと待ってください。


認知症は治療の難しい病気

認知症はアルツハイマー型、脳血管障害を原因とするもの、レビー小体型認知症など原因によって症状や進行状況が異なります。いずれも治療が難しく、放置しておくと悪化して行く病気です。

一方、加齢に伴い脳の機能が低下していくことで生じる、記憶力の低下は病気ではなく認知症に比べ基本的に悪化速度は緩慢です。

認知症は早期に発見し、運動や社会的活動などを維持していけば、認知症の悪化を食い止めたり、進行を遅らせる対策や治療が可能になります。医療の発展お果実も期待できるかもしれません。

厚生労働省の研究会に提出された資料によると、85歳から89歳の年齢の5割弱が認知症になるとされています。多くの高齢者が自分ごととして正しく実情を理解し、対策を考えておくべきだと思います。

認知症と介護認定

認知症の診断と介護認定とは、独立に行なわれますが、認知症と診断されるまでではないが、正常とも言えない軽度認知障害段階での対応が重要です。軽度認知障害段階で要支援等の認定が取れれば、デイサービス等の悪化防止活動での効果が期待できます。

認定基準の運営は自治体ごとに異なりますし、世帯状況も影響しますので、地域包括支援センターやかかりつけ医に早めに相談するのが重要です。認知症と診断され、生活機能が困難な状況になれば、要介護と判定され、介護サービスが受けられます。

認知症の症状が現れると、遠隔に住む家族などは心配になり、早めに介護サービスなどがついた施設に入所させたがる傾向があります。しかし、現在の症状より重度の人を対象にした施設に入ってしまうと、費用が嵩むことに加え、かえって症状を進行させてしまうリスクがありますので、ケアマネージャーや医師の判断に委ねるべきと考えます。

住みなれた自宅が一番の治療だという意見をお持ちの医療・介護関係者が多いようです。

認知症と金融取引

認知症になると日常生活以外の行動や判断能力が失われて行きます。異常行動とまでは言えないまでも、自分の名前や住所が書けなくなったりします。

これらは、金融取引をATM以外で行うときに必要な機能です。金融機関としてはこれらの行為能力が失われていると認識できる場合、取引を制限することになります。

具体的には定期預金や株式・投資信託・保険などの判断を伴う解約などの取引ができなくなります。

対策としては、行為能力が保持されているあいだに、これらの取引を事前に解約等しておくことをお勧めいたします。任意後見や後見をつければ、契約を動かすことができますが、弁護士等への高額の報酬支払いが生じます。

認知症と後見制度

定期預金等が凍結されてしまうと、介護費用や日常費用のために引き出すことができなくなります。

また、不動産などの資産の売却や相続における遺産相続に伴うさまざまな判断が行えなくなりますので、後見制度の利用が必要になります。

後見人を配偶者や子供等にする任意後見の利用が一般的です。この場合、裁判所により監督人が指名されます。多くの場合、月数万円の費用がかかります。

自治体によっては、積極的に裁判所に後見の申し立てをする例があります。

後見の費用の高さを嫌って、家族信託等の民間取引で代替する方が最近は増えていますが、利害関係者間での紛争を惹起している例も少なくありません。

認知症のリスクが予見された段階で、問題になりそうな金融取引や不動産等の資産整理をしておくのが賢明だと思われます。


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