遺産相続争いは資産家よりも遺産が少ないほど骨肉の争いが起きやすい。


少額な遺産
ほど争族になる

遺産相続の事件やテレビドラマなどでは、多額の遺産をめぐる争いがほとんどです。ところが、裁判で争われる遺産相続をめぐる争いでは、多くが1000万円未満の争いです。

令和2年の司法統計によると、1000万円以下の占める割合が36%もあります。5000万円以下が45%もあります。

1000万円と合わせると全体の8割超は、5000万円以下の相続税も殆どかからない遺産額をめぐる争いということです。

一方、1億円以上の高額の資産を持っている方の争いは、7%にすぎません。事前に、税理士、弁護士、あるいは銀行等の専門家が、相続準備を十分におこなっている結果だと思います。

具体的に考えてみるとなぜ少額な遺産ほど揉めやすいかが理解できます。もしお金が少ししかなかったら、これらを分けるのはなかなか難しい問題です。それぞれ生活を抱え自分自身の老後問題も今後、起こるかもしれないという状況です。

資産がいっぱいあるとという方は、分割しやすい現金がたくさんありますので全ての当事者を、ある程度満足させることは、十分可能という状況だと思います。結果、争いも少ない。

介護の貢献度
をめぐる
遺産相続争い

国の財政が厳しいこともあり、今後は施設介護じゃなく、在宅介護が主流になっていくと言われています。施設ですと必要性の判断がどうしても甘くなり、費用が嵩んでしまうからだと想像できます。

高齢者が施設に入りますと孤独にさいなまれます。その結果、認知症が進行してしまいます。高齢者自身も、在宅を希望する人が多いのです。

サービスのいい優良老人ホームに入ろうとすると、高額のコストがかかります。

また、在宅医療との連携もうまくいっていないようです.医師が施設を訪問で医療行為をしたときの報酬が大幅に引き下げられました。

一方、在宅介護・医療にも問題はたくさんあります。一人暮らしの老人が大変、増えています。核家族の進行で、今後もどんどん増えていくと言われています。

それに比べ、在宅介護・医療を提供する事業者は必要数を確保できていないようです。

共働きが標準化しました。実際に介護をしようとすると仕事を休んだり、あるいは仕事を辞めてしまわないといけないという状況も考えられます。

遠隔介護で、週末、帰省するコストだけでも大変な出費になります。

このように苦労して介護しても、遺産相続のときに報われることはほとんどありません。調停で裁判所が認定した介護等の寄与分の統計によると、遺産額に占める寄与分の割合というのは、1割以下が53%です。

しかも、家業等への貢献分もこの中に含まれます。介護の貢献は全く評価されてない。と言ってもいいのではないでしょうか?

兄弟間の骨肉の争い

司法統計によると、遺産相続の寄与分を争う裁判で実際に認定した対象者は、子供が83%、配偶者が当事者になるのは6パーセントです。

ほとんどの場合が子供の間での争い。兄弟喧嘩です。老夫婦の1人が亡くなった場合の第一次相続ではなく、もう一人の方が亡くなった第2次相続がほとんどの争いの場になっています。

第2次相続の場合、どうしても介護は特定の子どもの負担になっているという事情が見て取れます。介護で貢献した子供と貢献していない子供とが相続する、となったとき、遺産相続の分割割合が同額の決着というのは、なかなか 納得できないということではないでしょうか?

兄弟間の争いでも実際に裁判にかかる期間は、大変、長くなっています。もともとは仲の良い兄妹だったと思います。実際に介護が 発生した時に、このあたりの取り決めもしている というのも必要ではないでしょうか?

介護に貢献する子供を受取人にした生命保険を契約しておけば、争いの多くを防げるのではないかと思います。保険金については民法状は相続財産に含まれないので、遺留分の対象にならないからです。


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